税理士法人 A .I ブレイン
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代表社員 税理士 大井敏生
税理士法人 A .I ブレインは、新規設立法人の記帳指導、法人税申告書・決算書の作成から相続税対策・相続税申告書作成まで、一生涯のお手伝いをする税理士法人(税理士事務所/会計事務所)です。
◇ 主な業務内容
・法人税務、会計業務
・企業組織再編税制およびM&A
・相続対策、相続税申告
・事業承継対策
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No.1302 |
2013年度税 制改正大綱決定 |
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−デフレ脱却・景気回復と財政健全化の両立を目指し− |
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◇ 2013年1月24日、2013年度税制改正大綱が決定しました。
安倍政権が掲げる「デフレ脱却」「景気回復」による「財政健全化」を後押しするための税制改正が盛り込まれています。例えば、企業に設備投資や雇用拡大などを促す減税制度です。
また、2014年4月の消費税率引き上げ(8%)に備え、影響が大きいと懸念される住宅や自動車には、購入者負担を軽減する措置も講じられています。
なお、今回の税制改正による減税効果は、約2,700億円(年度)を見込んでいます。
◇ 主な改正ポイントは、以下のとおりです。
T.個人所得課税
1.所得税の最高税率の見直し
・ 現行の税率構造に加え、課税所得4,000万円超について45%の税率を設け、2015年分以後の所得税について適用する。
2.住宅税制
(1)住宅借入金などを有する場合の所得税額の特別控除について、適用期限を4年延長(2017年12月31日まで)するとともに次の2つの措置を講ずる。
@住宅取得などをして2014年から2017年までの間に居住した場合の住宅借入金などの年末残高の限度額(借入限度額)、控除率、各年の控除限度額、控除期間の最大控除額は<表A>のとおり。
A適用対象となる省エネ改修工事に係る省エネ要件の緩和措置の適用期限を3年延長(2015年12月31日まで)する。
<表A> 住宅借入金などを有する場合の所得税額の特別控除
(住宅ローン減税)
居住年
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借入限度額
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控除率
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各年の
控除限度額
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最大控除額
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2014年1月〜
3月 |
2,000万円
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1.0%
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20万円
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200万円
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(3,000万円)
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(30万円)
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(300万円)
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2014年4月〜
2017年12月 |
4,000万円
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1.0%
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40万円
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400万円
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(5,000万円)
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(50万円)
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(500万円)
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※( )内は長期優良住宅や低炭素住宅
(2)認定長期優良住宅の新築などをした場合の所得税額の特別控除について、適用期限を4年延長(2017年12月31日まで)するとともに所要の措置を講ずる。
(3)既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について、適用期限を5年延長(2017年12月31日まで)する。
(4)既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除について、適用期限を4年延長(2017年12月31日まで)する。
(5)特定の増改築などに係る住宅借入金などを有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について、適用期限を4年延長(2017年12月31日まで)する。
(6)東日本大震災の被災者に係る住宅借入金などを有する場合の所得税額の特別控除制度の特例について、適用期限を4年延長(2017年12月31日まで)する。
3.復興支援のための税制上の措置
(1)簡易証明制度の対象に、特定被災区域内において防災集団移転促進事業と一体で行われる一団地の津波防災拠点市街地形成施設に準ずる事業の用に買い取られる土地やその他の資産であることにつき、道県知事らの証明を2016年3月31日までに受けたものを加え、証明を受けた土地やその他の資産を地方公共団体に譲渡した場合の譲渡所得についても、収用交換の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等の対象とする。また、法人税も同様とする。
(2)震災の被災者に係る住宅借入金などを持つ場合の所得税額の特別控除制度の特例について、適用期限(2013年12月31日)を2017年12月31日まで延長する。
(3)収用交換などの場合の譲渡所得の5,000万円特別控除などに係る簡易証明制度の対象に、特定被災区域内の都市計画が一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に関する事業で使う土地その他の資産を加える。
4.金融・証券税制
(1)公社債など及び株式などに係る所得に対する課税は、特定公社債の利子などについて20%源泉分離課税の対象から除外する。2016年1月1日以後に支払いを受ける利子などについては、20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告課税の対象とする。
(2)特定公社債の譲渡所得などは非課税の対象から除外した上、2016年1月1日以後に譲渡した場合、譲渡所得などについて20%(所得税15%、住民税5%)の税率による。特定公社債などの償還または一部解約などにより支払いを受ける金額については譲渡所得などに係る収入金額とみなし、20%の税率による申告分離課税の対象とする。また、損失が生じた場合は他の特定公社債の譲渡所得などから控除することを可能とする。
(3)上場株式などの譲渡損失、及び、配当所得の損益通産、並びに、繰り返し控除の特定の対象範囲を次のとおり拡充する。
@損益通産の特例に、特定公社債の利子所得、及び、譲渡所得などを加える。
A2016年1月1日以降に生じた損失のうち、その年に控除しきれない金額は、翌年以降3年間繰り返し控除を可能とする。
(4)一般公社債の譲渡所得などについては、非課税の対象から除外する。2016年1月1日以後に譲渡した場合の譲渡所得などについては、20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税の対象とする。
(5)一般公社債の利子などについては20%分離課税を維持する。ただし、同族会社が発行した社債の利子で同族会社の役員などが支払いを受けるものは総合課税の対象とする。
(6)上場株式に係る譲渡所得と非上場株式に係る譲渡所得などを別々の分離課税制度とする。
5.租税特別措置
(1)中小企業者に該当する内国法人の取締役である個人で、その法人の保証人であるものが、現にその法人の事業に使う有価証券を除く資産について、その個人が所有しているものを、その法人に係る合理的な再生計画に基づき、(2013年4月1日から2016年3月31日までの間に)その法人に贈与した場合には、一定の要件を満たしている時に限り贈与によるみなし譲渡課税を適用しないこととする。
(2)相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例の適用対象者の範囲に、相続税法において相続、または、遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人を加える。
(3)社会保険診療報酬の所得計算の特例について、適用対象者からその年の医業及び歯科医業に係る収入金額が7,000万円を超える者を除外する。
6.その他
(1)予防接種法の改正を前提に新たなワクチン追加後の同法の健康被害救済給付について、所得税を課さないこととする。また、国税の滞納処分による差し押さえを禁止する。
(2)駐留軍関係離職者等臨時措置法、及び、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時特措法などの一部改正により引き続き支給される給付金は、所得税を課さないこととする。また、国税の滞納処分による差し押さえを禁止する。
(3)国民健康保険の被保険者であった者が国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行する場合について、国民健康保険税の軽減判定所得の算定の特例を恒久化する。
U.資産課税
1.相続税・贈与税の見直し
(1)相続税の基礎控除及び税率構造において<表B>のとおり見直しを行う。
<表B-1> 相続税の基礎控除
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現 行
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改正案
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定額控除 |
5,000万円
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3,000万円
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法定相続人比例控除 |
1,000万円に法定相続人数を乗じた金額 |
600万円に法定相続人数を乗じた金額 |
<表B-2> 相続税の税率構造
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現 行
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改正案
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1,000万円以下の金額 |
10%
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同左
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3,000万円以下の金額 |
15%
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同左
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5,000万円以下の金額 |
20%
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同左
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1億円以下の金額 |
30%
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同左
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3億円以下の金額 |
40%
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2億円以下の金額 |
40%
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3億円以下の金額 |
45%
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3億円超の金額 |
50%
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6億円以下の金額 |
50%
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6億円超の金額 |
55%
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(2)小規模住宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、特例居住用宅地に係る特例の適用対象面積を330u(現行240u)までの部分に拡充する。
(3)未成年控除及び障害者控除を次のとおり引き上げる。
@未成年者控除
・現 行 20歳までの1年につき6万円
・改正案 20歳までの1年につき10万円
A障害者控除
・現 行 85歳までの1年につき6万円(特別障害者については12万円)
・改正案 85歳までの1年につき10万円(特別障害者については20万円)
(4)相続時清算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造は<表C>のとおり。
<表C-1>
相続時清算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造
【20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に対する贈与税】
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現 行
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改正案
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200万円以下の金額 |
10%
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同左
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300万円以下の金額 |
15%
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400万円以下の金額 |
15%
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400万円以下の金額 |
20%
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600万円以下の金額 |
20%
|
600万円以下の金額 |
30%
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1,000万円以下の金額 |
30%
|
1,000万円以下の金額 |
40%
|
1,500万円以下の金額 |
40%
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1,000万円超の金額 |
50%
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3,000万円以下の金額 |
45%
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4,500万円以下の金額 |
50%
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4,500万円超の金額 |
55%
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<表C-2> 上記以外の贈与財産に係る贈与税
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現 行
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改正案
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200万円以下の金額 |
10%
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同左
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300万円以下の金額 |
15%
|
同左
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400万円以下の金額 |
20%
|
同左
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600万円以下の金額 |
30%
|
同左
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1,000万円以下の金額 |
40%
|
同左
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1,000万円超の金額 |
50%
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1,500万円以下の金額 |
45%
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3,000万円以下の金額 |
50%
|
3,000万円超の金額 |
55%
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(5)相続時清算課税制度の適用要件について、次の見直しを行う。
@受贈者の範囲に20歳以上である孫(現行推定相続人のみ)を追加する。
A贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げる。
2.事業承継税制
(1)非上場株式などに係る相続税・贈与税の納税猶予制度について次の見直しを行う。
@経営承継相続人等の要件のうち、非上場企業を経営していた被相続人の親族であることとする要件を撤廃する。
A贈与税の納税猶予における贈与者の要件のうち、贈与時に認定企業の役員でないこととする要件について、贈与時に代表権を有していないことに改める。
B役員である贈与者が認定企業から給与の支給などを受けた場合であっても、贈与税の納税猶予の取消事由に該当しないこととする。
C納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、経済産業相の認定の5年間の有効期間における常時使用従業員数の平均が、相続開始時または贈与時における常時使用従業員数の80%を下回ることとなった場合に緩和する。
D民事再生計画の認可決定などがあった場合には、その時点の株式の価額に基づき納税猶予税額を再計算し、納税猶予を継続する特例を創設する。
E納税猶予税額の計算において、被相続人の債務及び葬式費用を相続税の課税価格から控除する場合には、非上場株式等以外の財産の価額から控除する。
F経産相の認定の5年間の有効期間の経過後に納税猶予税額の全部、又は、一部を納付する場合については、利子税を免除する。
3.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
・ 30歳未満の受贈者の教育資金(下記注)に充てるために、その直系尊属が金銭などを拠出し、金融機関に信託した場合には、信託受益権の価額、又は、拠出された金銭等の額のうち、受贈者1人につき1,500万円(学校以外に支払われる金銭は500万円を限度)までの金額については、2013年4月1日から2015年12月31日までに拠出されるものに限り、贈与税を課さないこととする。
(注)教育資金とは、学校などに支払われる入学金その他の金銭や学校以外の者に支払われる金銭のうち一定のもので、文部科学相が定める金銭をいう。
V.法人課税
1.民間投資の喚起と雇用・所得の拡大
(1)国内設備投資を促進するための税制措置の創設
・ 2013年4月1日〜2015年3月31日に始まる事業年度で取得した国内の事業で使う生産設備について、事業年度が終わった時点で保有しているものの取得額の合計が、次の@とAの金額を超える場合、取得額の30%の特別償却か、取得額の3%の税額控除のうち、どちらかを選択できることとする。ただし、控除税額は当期の法人税額の20%を限度とする。
@法人が持つ減価償却資産で当期の償却費として損金経理をした金額。
A前事業年度で取得した国内事業向けの生産設備の取得額の合計額の110%相当額。
(2)企業による雇用・労働分配を拡大するための税制措置の創設
・ 2013年4月1日〜2016年3月31日に始まる事業年度で、国内の雇用者への給与を5%以上増やして支給した場合、その支給増加額の10%を税額控除できる。ただし、控除税額は当期の法人税額の10%(中小企業は20%)を限度とする。
(3)商業・サービス業及び農林水産業を営む中小企業の経営改善に向けた設備投資を促進するための税制措置の創設 ・ 2013年4月1日〜2015念3月31日に店舗の改修に伴って器具や備品、建物に付属する設備を取得した場合、取得額の30%の特別償却か、取得額の7%の税額控除を選択できる。ただし、控除税額は当期の法人税額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間繰り越しできることとする。
(4)試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)は次の見直しを行う。
@試験研究費の総額、特別試験研究費の額、繰越税額控除限度超過額、中小企業技術基盤強化税制、及び、繰越中小企業者等税額控除限度超過額のそれぞれに係る税額控除制度で、2年間の時限措置として控除税額の上限を当期の法人税額の30%(現行20%)に引き下げる。
A特別試験研究費に係る税額控除制度で、特別試験研究費の範囲に一定の共同研究を加える。
2.雇用促進税制
・ 雇用者数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)について、税額控除限度額を、増加した雇用者1人あたり40万円(現行20万円)に引き上げる。また、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲についても所要の措置を講ずる。
3.環境関連投資促進税制
(1)エネルギー環境負荷低減推進設備を取得した場合の特別償却、または、法人税額の特別控除制度(環境関連投資促進税制)について、次の見直しを行った上、適用期限を2年延長する。
@普通償却限度額との合計で取得額まで特別償却できる措置(即時償却)で、対象資産に熱電併給型動力発生装置(コージェネレーション設備)を加え、適用期限を2015年3月31日までとする。
A対象資産に定置用蓄電池設備を加えるとともに、補助金で取得したものを除外する。
4.中小企業対策・農林水産業対策
・ 交際費の損金不算入制度で、中小法人に係る損金算入の特例として、定額控除限度額を800万円(現行600万円)に引き上げ、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)を廃止する。
W.消費課税
1.復興支援のための税制上の措置
・ 被災した酒類製造者の清酒などに係る酒税の軽減割合を、2013年4月1日から2016年3月31日の間は6.25%に拡大する(現行は5%)。
2.租税特別措置
(1)入国者が輸入するウイスキーなどの酒税税率の特別措置を1年延長する。
(2)バイオエタノールなど揮発油に係る課税標準の特例措置の適用期限を5年延長する。
X.国際課税
(1)非居住者または外国法人が受け取る振替社債などの非課税制度は適用期限を撤廃する。
(2)非居住者などが受け取る振替公社債の利子などの非課税制度は全額について源泉徴収を不適用、非課税とする。
Y.納税環境整備
1.延滞税などの見直し
(1)延滞税の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たないときは、次の区分に応じて決定する。
@年14.6%の割合の延滞税 特例基準割合に年7.3%を加算した割合
A年7.3%の割合の延滞税 特例基準割合に年1%を加算した割合(加算した割合が年7.3%を超える場合は年7.3%)
(2)利子税の割合は各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合は、次ぎの利子税の区分に応じて割合を決める。
@次に挙げる利子税以外の利子税はその特例基準割合
A相続税および贈与税にかかる利子税(年7.3%のものを除く)はこれらの利子税の割合に、特例基準割合が年7.3%に占める割合を乗じた割合
(3)還付加算金の割合は、各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合はその特例基準とする。
(4)特別還付金の支給制度に係る延滞金および加算金の割合は、上記(1)および(3)と同様にする。
2.国税の見直しに合わせた地方税の当面の措置
(1)延滞金の割合は各年の特例基準割合が年7.3%に満たない場合は、次の区分に応じて決定する。
@年14.6%の割合の延滞金 特例基準割合に年7.3%を加算する
A年7.3%の割合の延滞金 特例基準割合に年1%を加算した割合
(2)各年の還付加算金の割合は特例基準割合が年7.3%に満たない年はそれを適用する。
※この改正は2014年1月1日以降の期間に対応する延滞金などについて適用する。
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